釣り歴30年以上、釣りの天才とか、釣りの先生とか言われている私にも、チャレンジしても釣れない魚がいる。それが天然のアマゴだ。と言ってもチャレンジしたのは小学生のころで、以降釣りに行っていない。
この前久しぶりに神河町のかつての釣り場近くに行ってきた。今でもあそこでアマゴが釣れるのだろうか。というのはアマゴが釣れていたころ、私の家の下の川にもアマゴがいたからだ。それがここ数年見ていない。
ということは、上流でのアマゴの絶対量が少ない気がする。
上流ではアマゴの手づかみはいまだに行われているみたいで、そこから逃げた個体が野生化しているとは思われるが、釣り人がいないことから魚影は薄くなっているらしい。そもそも、7月の休日にアユ釣りの竿1本立っていないとはさみしい限りだ。
カワウが来てから根こそぎ、放流したアユを食べてしまうから、アユは全く取れなくなった。その結果アユ釣りが出来なくなり、アユの放流も中止されてしまった。あれ以来アユ釣り客は戻ってこない。
この時期に竿が立っていない川に釣り師が魚がいると思うだろうか、自然、アマゴもいないと思われているのかもしれない。
ということはチャンスか!!
チャレンジしたら釣れるかも・・・・。
でも、私は川面を除く癖があるのでアマゴを釣れない。アマゴは水面に物影が走ると石の陰に隠れて餌を食べなくなる。よく一緒にアマゴ釣りに連れて行ってもらった親戚の親父に、
「お前、水面に影映したらあかんやろ、アマゴなんかそれじゃあ全然釣れへんぞ。いい場所譲っても台無しやないか。」
と叱られたものだ。
「あかんあかん、もうそこのアマゴは2時間ぐらいは餌を食べへん。餌を放り込むだけ損やぞ。」
と言われ、そんなことあるかい。と仕掛けを何度か投入してみた。
するとすぐに当たりがある。
「やった~。」
水面から出てきた魚は茶色くて汚く、ぬるぬるしていた。
アブラハヤ・・・。タカハヤ?なんか私たちのところでは共存しているらしく、どちらかはわからないがこいつらが釣れる。もっと腹立つぐらい気持ち悪かった気がするが、上流にはこいつらとカワムツとアマゴしかおらず、3択ならカワムツは見慣れているので間違わない。
ということでこいつらです。私たちの地方というか親戚の親父はこれをタロンパと言った。
「ほれ見い、タロンパじゃ、そんなもん釣るんやったら餌がもったいない。よこせ。」
そう言って、おじさんは私から餌箱を奪い取って、一人さっさと上流に歩いて行った。
「タロンパ釣るんやったら、その辺の蟻やバッタで十分や、針とおもり置いておくから適当に遊んどけ。」
そういって森に彼は消えて行った。よく考えると知らぬ土地で、小学校3年生を放置するなど危険極まりないが、幼稚園になる前から川で死なない訓練をされているから、父親もこのおじさんも安心して放置してくれた。
「バッタはわかる。でも、蟻はないやろ。」
まず、バッタを捕まえた。それを餌にすると、またタロンパが釣れる。まさかなあ・・・・、と思いながら歩いていた蟻を針に刺して投入した。すると10秒も経たない間に竿先がしなる。釣り上げるとタロンパが釣れている。
河原にいけすを作り、そこにタロンパを入れた。
「あそこの落ち込みのタロンパを釣りつくしてやる。」
結局、3度ほどアマゴ釣りに来たが、すべてタロンパ釣りになった。何してたんだか・・・。
私のような大雑把で水面を覗いてしまう人間が、天然のアマゴを釣る方法は、増水して水かさが増し、土の色で濁っているときに、臭いのきついシマミミズを使って釣ると釣れるらしい。
もし、釣りに行くとしたら、この方法になる。